団体訪問報告レポート NYAWC

はじめに

このコーナーでは、Sujataの活動のひとつである、「JAMSNET加盟団体訪問」企画のレポートをお届けします。JAMSNET加盟団体は、NYを中心としたアメリカ東海岸在住の日本人、アジア人に対して様々なサービスを提供しており、日本人スタッフも多く勤務しています。

ここでは、各団体のオフィスや活動現場を訪問して日本人スタッフの方にお話を伺い、そこでの学びや体験をご紹介していきます。医療・介護・福祉・公衆衛生などの分野で海外留学をする日本人の数は他の学部・大学院に比べるとまだまだ少なく、留学先でどんなことが学べるのか、現地でのインターン先・就職先としてはどんな団体があるのか、イメージが湧かない人も多いのではないでしょうか。

このレポートを始めとしたSujataの活動を通して、上記分野での海外留学や就職・インターンを検討する上での参考となれば幸いです。

記念すべき第一回は、”New York Asian Women’s Center (NYAWC)” – 「ニューヨークアジア人女性センター」の訪問レポートです!スタッフの永尾香織さん、堀川智里さんのお二人にオフィスをご案内いただき、お話を伺いました。

Slide1

米国最大のアジア人向けDV被害者支援団体

NYAWCは、1982年に創立され実に30年以上の歴史を持つ、米国最大のアジア人向けドメスティックバイオレンス(DV)被害者支援団体です。創設者のPat Eng(パット・イン)ら数名のNY在住アジア人有志が、ボランティアでDVのホットラインサービスを実施したことが団体の始まりだそうです。

現在では、約19のアジア系言語でサービスを提供し、年間約5,000件以上の相談に対応する24時間年中無休のホットライン、40床のDVシェルターを運営しており、年間約80名を超える日本人DV被害者およびその子どもへ、支援の手を差し伸べているとのことです。又、移民法専門の弁護士の支援は、敬遠しがちな複雑な米国法制度をクライアントに分かりやすい言葉で説明することから、クライアントが直面する様ざまな移民法問題を弁護することまで多岐に渡ります。支援サービスは一切無料であり、利用者のプライバシーは厳守、DV被害者を保護するためのシェルターの住所も非公開です。

ホットライン等を通してDV、性犯罪、人身売買等の被害者から相談を受けたNYAWCは、被害者の危機的状況やDV履歴をすばやく査定し、安全確保のための保護措置を取ったり、被害者のニーズに合わせて個別の支援プランを作成します。提供サービスは、上述のホットライン、DVシェルター、法的支援の他、カウンセリングやサポートグループ、DVに関する情報の提供(DVの種類、暴力のサイクルについて、被害者が利用できる支援制度、など)、公的扶助の申請サポート、他の団体・プログラムへの橋渡し、暴力を目撃または体験した子どもへの支援プログラムなど多岐に渡ります。

意外だったのは男性のスタッフも団体に必要とされているということ。被害者やそのお子さんの「男性」に対する恐怖心を和らげるお手伝いや、社会復帰の一歩として男性が果たせる役割もあるということが驚きでした。

男性1                                                            

 

移民・海外在住外国人が抱える言語的・文化的バリア

海外からアメリカにやってきて暮らす外国人にとっての大きなバリアは、まずなんといっても言語です。自分が抱える問題や悩み、とりわけDVなどの難しくて繊細な問題を外国語である英語でうまく表現し、相談することは簡単ではありません。だからこそNYAWCは約19もの言語によるサービスを提供し、被害者が母国語で安心して話せるように対応しているのですね。

言語の問題ももちろんですが、それ以上に難しいのは、被害者それぞれの文化的バックグラウンドによる考え方や習慣の違いをよく理解し対応することです。たとえば、アメリカ人と比べて、アジア人の方は家族内の問題を他人に相談することを恥と考える傾向が強かったり、「自分に悪いところがあるかもしれない、しょうがない」「彼も疲れていただけかもしれないし、我慢しなきゃ」などとDVの責任を自分に問う傾向があるなど、具体例としてお話いただきました。被害者=サービス利用者と同じ母国語で話せるということだけでなく、文化的・民族的バックグラウンドを共有しているからこそ、相手の考えをよりよく共感・理解をすることができる…NYAWCのようなアジア人向けサービスの存在の重要性が感じられるエピソードでした。

また、外国人の方々は自分たちの法的権利や受けられるサービスを知らない人が多く、まず、”Know your rights.”といって、DV被害者の方々が持つ法的権利をよく理解してもらうことが重要だというお話もしていただきました。

どんなに海外生活が長くても、なかなか自分の気持ちを英語で表すことは難しい。夫婦生活などの繊細なニュアンスを伝えるならなおのこと。言語や文化を共有できる相談相手がいるということは被害者にとって光になるはずだと思いました。

女性2

 

 

 

海外で、日本人であることを活かしてはたらくこと

訪問時には、NYAWCの活動・サービス内容のお話に留まらず、永尾さんご自身のこれまでのキャリア形成のお話もしていただきました。永尾さんはNYAWCで7年以上勤務されています。

海外で言語・文化的な様々なバリアを越えて、ネイティブと肩を並べて活躍することは簡単ではありません。そうした時に、自分のルーツとなる出身国・地域の文化・歴史的背景を仕事に活かしていくことはとても重要だということです。特に、NYAWCのように対面カウンセリングを伴うような仕事では、相談者の文化的バックグラウンド、そこからくる暮らしや考え方を理解できるかどうかということはとても大切です。

そうした、自分にしか担えない代替不可能な仕事や役割を見つけることは、自分の自信にも繋がり、ただ「雇われている」という意識を脱却して、より主体的に働くための鍵ともなります。

現在、日本人として海外大学・大学院に留学しているSujataメンバーにとっても、卒業後の仕事づくりは大きな関心であり、とても勉強になり、勇気づけられるエピソードでした。

自身のインターンの経験を思い出し、「自分にしかできない仕事」を持つことが、海外で生活する上でいかに支えになるかということを考えさせられました。日本語を話せるということ、女性であるということを活かせる職場を見学でき、とても参考になりました。

女性2

 

 

NYAWCの職場の雰囲気はとても良く、supportiveでcomfortableな仕事環境だとおっしゃっていました。多様なバックグラウンドを持つ人びとが集まり、交わる職場だからこそ、より一層お互いのことを思いやる気持ちが強まるのかもしれませんね。

男性1

 

 

 

スタッフ・インターン・ボランティア募集情報

NYAWCでは、下記のようなボランティアを随時募集しています。ご興味のある方は、ボランティアコーディネーターVineeta Kapahi ( vkapahi@nyawc.org)までご連絡ください。

【ホットライン】

クライアントが悩みを抱えて一番初めに連絡するのがホットラインです。相談者からの話に耳を傾け、安全対策や必要なリソースに関する情報を提供します。

【クライアント(大人)への直接支援業務】

公的機関や裁判所、弁護士事務所などへの同行業務、書類やパンフレットなどの翻訳業務、クライアント向けプログラムの運営補佐、など、クライアントを直接サポートする業務です。

【子ども・青少年のためのプログラム】

デジタル・アートセラピーグループ、DVシェルターに住む子どもたちへのアクティビティー企画・運営、夏季休暇中の遠足企画・同行業務など、子どもたちと直接交わる機会のある業務です。

【ニュースレターライター】

団体内外への方へ、NYAWCの最新情報を伝える記事を書く業務です。

【イベント業務】

Gala、NYC マラソン、Holiday Partyなど、各イベントのお手伝いです。

【団体内事務】

オフィスやシェルター内の受付、資料の整理、ファイリング、リサーチや翻訳の補佐など、団体のスムーズな運営のための大切な役割です。

求人情報については、下記ウェブサイトからご確認ください。

http://www.nyawc.org/about/employment.html

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